2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

S「百億の昼と千億の夜」光瀬龍

ハヤカワ文庫 萩尾望都が出てきたところで、この本を。近所の図書館にコミック版があったのを最初に読んだのだけど、なぜか完結してなかった。それで原作本を探した所、SFがあまり得意でない私にも読みやすかった。イエス、プラトン、シッタータ、阿修羅、…

M「少女マンガの愛のゆくえ」荷宮和子  

光栄カルト倶楽部 あれは小学一年の頃でしたか、風邪で苦しむ私を哀れんで「Mちゃんなにか欲しいものある?」と聞くママ上に、「『つる姫じゃ〜っ』がいい…」と答えたワタシ…。 そんなステキな思い出も浮かぶこの本は、懐かしの作品を事例に、少女マンガの…

M「ふだんの一日」ウィリアム・F・ノーラン  

『世界ショートショート傑作選1』所収 <“わたし”が草取りをしていると、まだらの蝶が「ラ・ボエーム」のアリアをハミングしはじめた。> そんなとこから始まるこの作品の中では、大きな斑猫は「どいたどいた!」と叫びながら通りに飛び出し、踊り場のネズミ…

S「ANIMAL LOGIC」山田詠美

新潮社 私は、きっと誰も愛していない。 それと同時に、きっと、すべての人を愛している… ヤスミンは美しい豹のような女性。生来の自由さと独特な愛情を備え持ち、様々な人々が暮らす“動物園”マンハッタンで日々を呑気に送っている。彼女は黒人で、つきあう…

M「ねじの回転」ヘンリー・ジェイムズ  

新潮文庫 おおっラヴクラフト!初めて読んだのは「異次元の色彩」だったか「ダンウィッチの怪」だったか、これといって形あるものを描かないのに、触覚嗅覚にまといついてくる感じがなんとも気持ち悪かったです。「真ク・リトル・リトル神話大系」はいつか揃…

S「ラヴクラフト全集(1)」ハワード・フィリップス・ラヴクラフト

創元推理文庫 昨日の「怖かった…」でマジコワな一冊を思い出してしまった。 高校時代に買って、いつの間にか旅に出てしまって手元に残っていない(ので記憶が定かでない)本。 1920年代の怪奇小説で、ストーリーよりも本を開いた時に感じた空気が記憶が…

S「ガダラの豚」中島らも

集英社 三谷氏のエッセイはとても面白い。テレビに出演しても面白い。結婚記者会見で「結婚のきっかけは?」と聞かれて、奥様の小林聡美さんが「入籍しないとマンション購入のローンが組めないから」と笑顔で返答していたのが鮮やかに思い出される。素敵なふ…

M「気まずい二人」三谷幸喜   

角川書店 今回は手軽に読めて楽しいこの本を。“三谷幸喜初の対談集”です。 話ベタの三谷さん、話が全く続かず脂汗、なんて場面が多々あり、本人の苦しみとは裏腹に、読んでるこっちは爆笑してしまいました。こんなに「…」が多い対談集はじめて見ました。いや…

M「自らに手をくだし」ジャン・アメリー

法政大学出版局 「自分にとって大切な本」というと、これかな…と思うのですが、 うーん、うまく書けない…です…。 はじめてこの書を読んだのは、もう何十年も前のことになります。 それなのに今も尚、笑っていても楽しんでいても、 心の奥でアメリーの言葉が…

S「ダルタニャン物語」アレクサンドル・デュマ

講談社文庫 子供の頃からの私の友人達、ダルタニャン、アトス、ポルトス、アラミスの物語である。なんと言っても世界で一番愛している物語はこれなのだ。 実在の人物をモデルにした「ダルタニャン回想録」を元に、舞台を17世紀に設定して歴史上の人物をか…

M「グラウンド・ゼロ」ユルグ・アルトヴェーク+アウレル・シュミット  

富士書店 読むつもりで図書館から借り出したのに*1結局読み通せず返すこと何回もあります。 私も12年ほど前手にとってそのまま挫折したこの本を。これはジャック・アタリ、ロラン・バルト、ジル・ドゥルーズ、ジャック・デリダ、ミシェル・フーコー、フェリ…

S「易経」

岩波書店 今日は未読書感想文です。 易に太極あり、これ両儀を生ず 両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず 宇宙・人生の森羅万象を説明し、その神秘を知るための哲学書にして実用書。気功を習い始めた時、初日に師匠*1がホワイトボードに書いたのがこの2行。1…

M「フラッド」アンドリュー・ヴァクス

早川書房 ぎゃあああ!!!ノワール物ではダントツに好きなヴァクスのしかもブルーベルぅぅ!!(悶絶)いつか絶対書いてやると思ってたこの本、読んではったなんてなんだか嬉しいです!二番煎じになりますが、書かせてください。 もうね、ほんっとに好きな…

S「ブルー・ベル」アンドリュー・ヴァクス

早川書房 Mr.ブルーなのね。「レザボア・ドッグス」は好きだけど、どの人が何色か覚えてないわ。ではブルー&ムショ帰りつながりの暗黒街ものです。NYの暗黒街で巨大な愛犬ナポリタン・マスチフのパンジィと共に暮らす前科27犯の探偵バーク。行きつけの中華…

M「ストレート・タイム」エドワード・バンカー

角川書店 ★注意!ネタばれ有ります 8年ぶりに刑務所を出た男が“まっとうになろう”とするも、前科者を雇ってくれる所はなく結局悪の道へ…。 処女作ということで書き慣れていないせいか?やけに肩に力が入っていて、情景描写は硬いし、敵役の保護監察官の嫌味…

M「よろずや平四郎活人剣」藤沢周平

文春文庫 池波正太郎さんイイですよねー!!伊佐次はホンマ粋だった。おまさも気風が良くていさぎよい。相模の彦十はなんか可愛いらしいですよね。鬼平の密偵には好きなキャラクターが沢山います。 さて、そんな池波さんと並んで私の好きな時代小説家の一人、…

S「鬼平犯科帳」池波正太郎

文春文庫久々に友人と会っていくつもの話題のどこかで鬼平の話をした。池波作品は好きなのだが、これは特にお気に入りのシリーズ。「人間は良いこともし、同時に悪いこともする」ものなのである、という人間観が底を流れている. 鬼平は永遠の上司であり、人…

M「世界の果てまでつれてって…!」ブレーズ・サンドラール 

白水社 生田耕作コレクション 恋する女心☆ならず、爆裂女道☆といえば、嗚呼もう文句なくコレっ! 女優テレーズは70歳すぎて尚、恋に燃え肉欲にさかり街角で男を漁ります。なんたってまだまだオンナ!イントロは安ホテルで兵士とくんずほぐれつのシーンから始…

S「時のかなたの恋人」ジュード・デブロー

新潮社 恋する女心爆発☆タイムスリップ・ラブ・ロマンス。アメリカ人女性がイギリス旅行中に恋人に捨てられて教会で泣いていると、そこに16世紀イングランドからタイムスリップしてきた伯爵が現れる。そこからあんなことやこんなことがあって、あっち行っ…

M「今でなければ いつ」プリーモ・レーヴィ

朝日新聞社 「戦争下の物語」でこれを思い出しました。第二次世界大戦下、ナチ占領地で戦ったユダヤ人パルチザン部隊の物語なのですが、印象的な場面が多く、「なぜユダヤ人のみのパルチザン部隊がつくられたのか」など、さりげなく民族間の対立の根深さも描…

S「影の獄にて」L・ヴァン・デル・ポスト

思索社 映画「戦場のメリークリスマス」の原作本。 ジャワの収容所で辛い時期を過ごした友人同士が5年ぶりに再会し、クリスマス休暇を過ごす。3夜にわたって戦争中に2人の心に深い印象を残した人物の事を物語る。映画とは違った静けさが感じられるのは、…

M「救出者」マルク・アルテール

NHK出版 色々迷ったのですが、最近違う意味で涙したこの本を。 独・仏・米・ポーランド・スイス・リトアニア・デンマーク・ボスニア等、広範な範囲に渡って、第二次大戦下ユダヤ人を匿った人々を訪ね歩きインタビューした本です。 彼らは、「どうして危険…

S「そして、アンジュは眠りにつく」 島田雅彦

新潮社 島田君がアイドルだった。下町育ちの私には彼のテーマ「郊外の街」が実感できなかったけれど、端正な外見もインテリぽさも青二才振りもかなり好みだった。ロシア語学科でチェロが演奏できるのだから、そりゃ惚れますよ。シェーンベルグを聴いたのも、…

M「ゾマーさんのこと」パトリック・ジュースキント

文藝春秋社 閉所恐怖症のゾマーさんは、雨の日も雪の日も、ただただ、歩く。歩く。歩く…。 「香水」と同じ著者なのですけれど、あの奇想天外な濃密さを想像すると、雰囲気が違うのでびっくりするかもしれません。ハンディタイプの薄い本で、言葉も平易な絵本…

S「香水 ある人殺しの物語」 パトリック・ジュースキント

文藝春秋社 母に殺されかけてパリの修道院で育てられたグルネイユは子供の頃から疎まれていた。あらゆる匂いをかぎ分けることができるのに、彼だけは全く匂いがない。匂いの強烈な18世紀フランスでは、無臭な人間はとても違和感があるらしい。 世界は小さ…

M「世界朝食紀行」 西川 治 

:マガジンハウス 写真付エッセイ集でこれを思い出しました。東南アジア、中東、ヨーロッパなど各国の朝食風景を写真付きで綴っています。一口に朝食といっても、当然ですが国によって様々で、それからチラリ覗く民族性も楽しいです。著者は写真家なのですが…

S「中国茶読本」 島尾伸三

平凡社(コロナ・ブックス) 植物といえばお茶の木!昔々、中国の神農*1が毎日百の草を食べて発見した(ありがとう!)のがお茶。この本は様々な種類の美しいお茶の葉や茶器や中国の人々の写真がふんだんに使われていて眺めていて楽しい。添えられているエッ…

M「みどりの想い」ジョン・コリアー  

創元推理文庫「怪奇小説傑作集2」所収 植物綺譚といえばコレ!どこからか手に入れた新種とおぼしき蘭が、ある日やっとのことで蕾をつけるのですが、その蕾が、どうもなんだか蠅に似ている・いなくなった猫に似ている・姿を消した従妹に似ている…と言った按配…