M「世界の果てまでつれてって…!」ブレーズ・サンドラール 

白水社  生田耕作コレクション


恋する女心☆ならず、爆裂女道☆といえば、嗚呼もう文句なくコレっ!
女優テレーズは70歳すぎて尚、恋に燃え肉欲にさかり街角で男を漁ります。なんたってまだまだオンナ!イントロは安ホテルで兵士とくんずほぐれつのシーンから始まるのですが、もう呆気にとられ次にあまりの威勢の良さに嬉しくなります。「ヴェロール!(微毒)」と罵られ、入れ歯をとばし萎びた尻を叩かれながらも、肉欲に邁進っ!なのです。女優でもある彼女は素っ裸で舞台に立ち、たるんだ裸体を晒しながら嘲笑する観客を前にヴィヨンを朗誦します。彼女の思い切りの良さ!そのハチャメチャさ!「地下鉄のザジ」にも通じるそのドタバタさ加減は、とにかく「もおなんでもアリ!」という感じで、読んでいると(むやみやたらに無鉄砲な方向で)大いに勇気づけられます。
こんな作品が書けるのも、珍奇な人生を自ら生きた冒険家サンドラールだからこそでしょう。すごく面白かったです。