S「ミリアム」トルーマン・カポーティ

「夜の樹」収録 川本三郎訳 新潮文庫 M様の「こまどり」を読んで、少年が出てくる話をいくつか思い出しました。 ヘッセの「デミアン」とか、コクトーの「恐るべき子供達」とか。 でも最後の所でカポーティの名前が出てきて、一気にカポーティに心を持って行…

M「こまどり」ゴア・ヴィダール

「新・幻想と怪奇」仁賀克雄編所収 Hayakawa pocket mystery books S様の「ある小さなスズメの記録」の『小鳥』『ウォルター・デ・ラ・メア』で思い浮かんだのがこの作品。幻想怪奇のアンソロジーに載っていた短編ですが、怖いというよりは心痛む感じです。 …

S「ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯」

文春文庫 Mさんの「砂嵐の追跡」の野鳥愛好家から連想したのは、共に暮らしたスズメの一生を記したクレア・キップスのこの本。 挿画は酒井駒子でカバーや帯の色までも美しい文庫本。 訳者が梨木香歩、解説が小川洋子。 さらに豪華なことには、キップスに執筆…

M「砂嵐の追跡」ウェンディ・ホーンズビー

Hayakawa pocket mystery books Sさまの「ザリガニの鳴くところ」を読んで思い出したこの作品。こちらは「ベスト・アメリカン・ミステリ2006」所収の短編です。 主人公の女性は、峡谷の雛を辛抱強く見守る野鳥愛好家です。砂漠で一晩すごすために、さまざま…

S 「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーエンズ 

早川書房 【ネタバレご注意ください】 これから読まれるご予定で、何も知りたくない方はここまでで。 読み終えてから、また帰ってきて下さると嬉しいです。 ✴︎ ✴︎ ✴︎ ノースカロライナ州の湿地で青年の死体が見つかり、湿地に暮らす女性が疑われる話。 予備…

Sです

知らぬ間に10年が過ぎていました。 Mさんも書いてくれていましたが、久しぶりのランチで最近読んだ本の話をしていました。 この場所のことを思い出し、そういえばあのサイトまだあるのかな、と調べたらありました。 こんなに喋ってるんだから書きましょう、…

M「われら闇より天を見る」クリス・ウィタカー

早川書房 ゴールド・ダガー賞受賞というだけで期待が高まる単純な私。そして期待に違わず、冒頭2ページでぐっと引き込まれます。短い描写でその土地がどんなところか、彼らの関係性はどうなのか、さらっと伝えてくるのがうまいし、少女ダッチェスと警察官ウ…

たいへんお久しぶりです。Mです。最終更新日見てびっくりしました。えっ10年前?!まさに光陰矢の如し… この10年は、ほとんど“本”を読むことがありませんでした。改めて思い返すと不思議なんですが、本当に本を手に取ることがなかったです。じゃあ“読む”と…

S「ラピスラズリ」山尾悠子 

ちくま文庫 この本は短編と中編の5つの話でできている。 「銅版」「閑日」「竃の秋」「トビアス」「青金石」の5編。 「閑日」と「竃の秋」は時期の前後はあれど同じ場所でのお話。 中世あたりのヨーロッパの一地方だと思われる。 領主の住む大きな館と、使…

sitarです。ものすごく、ものすごくお久しぶりなのでこっそり更新します。しばらく読むばかりの日々を過ごしていました。 感想をメモするのももどかしく、次へ次へとただ読む。 体内に活字を貯める為に読んでいるような変な感じ。 文字の餓鬼道のような期間…

M「デンデラ」佐藤友哉

新潮文庫 実は以前「エナメルを塗った魂の比重」を読んでいまして、その余りのアイタタタタぶりが印象的でしたんで、今回老婆ばかりのお話と聞いてちょっと意外でしたが、これはこれで楽しく読めました。 70オーバーの老婆達が皆とんでもなくタフなところと…

M「虐殺器官」伊藤計劃

ハヤカワ文庫 タイトルに少々ビビリつつ読みましたが、いや面白かったです。 まず「うわあ」と思ったのが、やはりその引用の多様さ。 S様も書いておられる通り、映画・聖書・言語学・進化論・軍事・歴史、色んなとっから自由自在。 モンティ・パイソンは結構…

台風どんどん近づいてますねえ。ゆっくり近づいてるのが微妙にイヤンです。 さてさて、今回はS様にお借りした本を。 感想思いっきり被ってる(つかほぼ同じw)な上ネタばれですが、気にせずゴー!

S「虐殺器官」伊藤計劃 

ハヤカワ文庫 この本のタイトルはずっと気になっていたのに、著者の訃報とほぼ同時に知ったので読みそびれていた。 自分よりも少し若い人が書いた本で、しかも既に亡くなっているとなると…なんとなくフィルターをかけて読んでしまうような気がして。今回は文…

S「デンデラ」佐藤友哉 

新潮文庫 70歳を迎えて山に捨てられた老婆達が生きて村を作っていて、人喰熊と戦う話。 お話としては以上!なのだけど、面白かった。 サバイバル小説。63歳から100歳の老婆達がタフ!私よりもずっとタフ! 名前がみんなカタカナで可愛い。おばあちゃんぽくも…

S「柘榴のスープ」マーシャ・メヘラーン 

白水社 テヘランから逃れてきた美しい三姉妹がアイルランドの田舎でペルシア料理店「バビロン・カフェ」を開く。この設定だけで読みたくなるでしょう?各章ごとの扉絵にはアラベスク模様のタイルや細い首のガラス瓶やスパイスが書かれていて美しい。その裏に…

このところ読書欲がふつふつと沸いており、感想メモがたまるばかりのSです。 更新は遅々として進まずですが、とりあえず3冊いきます。 いつもながらネタバレです。未読の方はどうぞご注意下さいませ。

M「男と男の恋愛ノート」簗瀬竜太+伊藤悟

太郎次郎社 まあ、「あんしん電話」は最後の手段として(えっ) 孤独死の本を読んで、 「家族がいなかったり年上だったり、いても繋がりが希薄なら、他人と繋がっていくしかない。それにはどうすればいいのか?」 という繋がりで読み始めたこの本。 これは、ゲ…

M「ひとり 誰にも看取られず」NHKスペシャル取材班&佐々木とく子

阪急コミュニケーションズ ううううう〜。幾つか事例が紹介されていますがコレが辛い辛い。 死後三年経過し白骨死体になるまで発見されなかった男性なんて最たるもの。 その間誰も訪ねる人も連絡する人もなかったということだものね。 他にも、妻子もなく最…

以前、NHKスペシャルで「孤独死」が取り上げられたことがありました。 かなりの衝撃だったこの案件、今回関連本を手にすることが出来たので更新〜。 例によって内容の詳細説明はナッスイングですアハハ。 では「かんそう」ゴー。

M「ヒトはなぜヒトを食べたか−生態人類学から見た文化の起源」マーヴィン・ハリス

早川書房 結構時間かかったのに特に面白くなかったようクスンクスン。 やたら「コスト=ベネフィット」で論じようとするから、どうも段々我田引水の感が強くなってきてしまい、途中からは「も、もしかして、トンデモ本??でも早川だし…。いやでも…」のせめ…

M「家蝿とカナリア」ヘレン・マクロイ

創元推理文庫 犯人がわかるところまではすごく面白くワクワクしながら読みました。 メスの柄の方に蝿がたかるのは何故か? 何故犯人はメスを研ぐ為押し入った刃物研磨店のカナリアを解き放ったのか? しかし、すれちゃってるので、真犯人「以外」の怪しい点…

M「死への落下」ヘンリー・ウェイド

教養文庫 「推定相続人」の作者。なんですが、うーん… 謎解きの楽しさがない。犯人逮捕のカタルシスもない。 結局主人公が犯人というのがラストでそれとなく示されるけれど、殺しの方法はハッキリしないし、犯人はそのまま逃げおおせることも暗示されている…

M「誰も批評家を愛せない」ジェーン・デンティンガー

創元推理文庫 ショービジネス界内幕ものって基本的に好きです。 これは売れない女優兼演技指導者兼演出家が主人公のブロードウェイもの。 まあまあ面白かったです。 主人公より恋人の刑事やゲイの演出家がいい感じでした。

M「死者を起こせ」フレッド・ヴァルガス

創元推理文庫 これ案外面白かったです。 歴史専攻の学者三人が、貧乏食い詰めて一軒のボロ家を借りて共同生活。 専攻も性格も体格も様々な三人の男、これだけでも十分面白いのですが、冒頭提示される謎が、「元オペラ歌手の庭にある日突然一本の木が植えられ…

M「悪魔は夜はばたく」ディーン・R・クーンツ

創元推理文庫 実はこれが初クーンツ。 モダンホラーってスティーブン・キング以外殆ど読んだことがないのです。「物語の中でくらい救いをくれよ!」が信条でございますので(笑)、基本的に救いのない結末・後味が悪そうな本は避けて通ってるのです。ジャッ…

あとは読んだミステリなどからちょろっと。しかしこうしてみると創元祭りだわ(笑)

M「フランスの怪奇民話」高橋彦明訳

評論社 人魚・妖精でまるまる一章というのが、らしいなあと思いました。 あと、死人の腿肉食べるとか、狼に食べられて手足バラバラとかとか、サクっと人肉を喰らっちゃうお話が 何気に多かったです(笑)

M「アメリカの怪奇民話」高田邦夫訳

評論社 うーん、ここに収められているのはどれも、あんまり民話という感じじゃなかったですねえ…。 多くを占めるのは、魔女狩りの話と海賊の話なんですけど、 特に魔女狩りの話は、「ひどいこと昔はあったけど、今の私たちは正気だから、それがひどい事だと…

M「スウェーデンの怪奇民話」清水育男訳

評論社 巨人の話とトロルの話多し。で、巨人はたいていお馬鹿さん(笑)。 トロルは靴屋の小人よろしく、いろんな仕事をこなしてくれるが人間の前には姿をあらわさないのが定石。 山中にある見事な大邸宅に眠る12人の眠れる騎士は、スウェーデンに危機が迫ると…