M「救出者」マルク・アルテール

SandM2005-02-04

NHK出版


色々迷ったのですが、最近違う意味で涙したこの本を。
独・仏・米・ポーランド・スイス・リトアニアデンマークボスニア等、広範な範囲に渡って、第二次大戦下ユダヤ人を匿った人々を訪ね歩きインタビューした本です。
彼らは、「どうして危険を冒してそのような事をしたのか」との質問にとまどいます。それは恐らく、彼らにとっては当然の行動だったからなのでしょう。ある一人は「他人の事を考えている時は、人間ってのは我を忘れるものです」と語ります。自らの生命が危険にさらされる時もそれは変わらず、その行為によって利益を受ける人を選ぶこともありません。読みながら「私はこのように行動できるだろうか?」と思うと、溜息と涙が出ました。
文体は、このような題材にありがちな“過剰な感情を押し付ける”こともなく、しかし著者なりの考察がそこここに挿入されていて読みやすいです。