M「ふだんの一日」ウィリアム・F・ノーラン  

『世界ショートショート傑作選1』所収


<“わたし”が草取りをしていると、まだらの蝶が「ラ・ボエーム」のアリアをハミングしはじめた。>
そんなとこから始まるこの作品の中では、大きな斑猫は「どいたどいた!」と叫びながら通りに飛び出し、踊り場のネズミは話しかけると音楽的な声で返事をしてくれます。
「だからなんなんだ」といわれたら、うまく説明できそうにもないのですが、この8Pの短編を読むたびに、“ゆっくりと静かに狂っていくのを、抗うでもなく諦めて受け入れる”ことを、ただぼんやりと想います。お気に入りです。