なんとS様の「吸血鬼を救いにいこう」が上がる数週間前にたまたま読了し映画まで観ていました。偶然~!!
というわけでブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」です!
1897年の作品ということで、一世紀以上前だし退屈かなと危ぶんでいましたが、なかなか面白かったです。
しかし長い!そして回りくどい(笑)
「吸血鬼を救いにいこう」はレポート的語り口とのことでしたが、こちらは書簡体小説。
複数人の日記や手紙や新聞記事で構成されているのは楽しいものの、ジョナサン・ハーカー回が終わってからは延々恋愛模様が続くので「何を読まされてるんや…」という気持ちに。ドラキュラ!ドラキュラを持てい!!
ちょっと驚いたのがその男女観。
「彼女が大きな危険を冒すのはよくないことだ―この行為は女性の役目ではない」「女性というものには、男性が男らしさを損なうことなく、打ちひしがれ、優しい気持ちや感情を表現できるような何かがあるのだろう」「男性とはこんなに真剣で、真実で、勇敢なのだから、女性が男性を愛するのは至極当然のことだろう!」
姫と騎士ですねえ。えっ100年前ってそんな感じ…?
イギリスで年齢制限無しに女性参政権が認められたのが1928年だからこんなものなのか…?
あと当時発表されたばかりの「犯罪者の脳は未発達」という学説を取り入れていて、1897年としてはなかなか最先端だったのではないかと思いました。ロンブローゾ!
ドラキュラが止めを刺されるところは超あっさりで拍子抜け。「吸血鬼カーミラ」もそうだったな…
冒頭、ドラキュラ伯爵の城に向かう若者に村人たちが口々に祈りを唱え十字を切るところは否が応でも雰囲気が高まりますし、その城で軟禁された挙句三人の女性に寝込みを襲われるところもなかなか耽美。
しかしなんといっても出色は、皆の憧れの女性ルーシーが吸血鬼になり深夜の墓地に現れ、血まみれの唇で婚約者を誘惑するところでしょうか。
そのシーンが一番好きです。幻想的で素敵でした。