M「センチメンタル・シカゴ」サラ・パレツキー

ハヤカワ文庫


お久しぶりでございます“ヴィク”V・I・ウォーショースキー!


といっても第三作目。私が久しぶりなだけ。以前シリーズ拾い読みしたきりだった…。


しかし相変わらず展開目まぐるしい。硫酸をかけられ、自宅には放火され、はたまた証拠探しに証券会社に侵入して見つかりそうになって逃げ回ったり。
彼女はちゃんと毎日ジョギングをし、マメに体を鍛えている描写があります。それでも逃げる途中足を滑らせ証拠をバラまいたり、襲撃された後ショックでぶるぶる震え鍋に入れるミルクを殆どこぼしたり。人間離れしたスーパーウーマンではないのがいいです。(スーパーウーマンもそれはそれで楽しいけど)。
様々恐ろしい目に遭い、実際内心動揺しながらも、それを押し込めて進んでいこうとする、そのタフさ、すごいなあと驚嘆。唯の依怙地、と本人は自嘲してますが。


今作品は、定期的に食事やベットを共にする男性も描かれるけど、基本母への憧憬、女友達との友情、伯母との確執など、女性との関係に重きが置かれているような気がします、パレツキー。
結局は、ヴィクの旧友が殺されたり伯母は発狂したり尊敬してやまない母に関する醜聞も明らかになったり苦い結末でしたが、ミドルネームにかけたラストが光明投げかけ後味良く読み終わりました。修道院もからんでいて、修道士たちの食事の描写などもあったのが嬉しかったです。