M「エラリー・クイーンの新冒険」エラリー・クイーン

創元推理文庫


「新冒険」あるの知らなかったよー!「冒険」は読んでたので迷わず購入。
中短篇集です。いくつか感想をピックアップ。


「がらんどう竜の冒険」間違った日本イメージ横溢(笑)。名前からして!カジワ?それ何人?みたいな。クイーンは地名シリーズ(「ニッポン樫鳥の謎」)や他短篇でも日本取り上げてる割には色々間違ってるんだよなあ…。書かれた時代を考えると無理もないですが。
「血をふく肖像画の冒険」妻が不貞を働くと血が滲む肖像画、というのがなかなかゴシックな感じです。オチはまあ…。
「人間が犬をかむ」これはなかなか。コロンコロンと事態が転がっていくのが読んでて心地良い。
「正気にかえる」これもこれも!ちうのは、私途中マネージャーが「キャメルの外套を腕にかかえて出てくると〜大またに出て行った」で、ちょっとひっかけられたのですよ。あんまりあからさまなので“まさかね”と思ったら、やっぱりブラフでして、ええ気持ちよく騙されました。


と、ここまでは、いつものクイーン。個人的には、面白いんだけど論理に重きが置かれているので、阿呆の私にはちょっぴり淋しい、いつものクイーン。


が、最後まで取っておいた冒頭の中篇「神の灯」いやいやこれはこれは!
家が丸ごと消失するという大ネタ!して、その種明かしも、一読目は「えっ…?」とはなったものの、二読・三読目には納得の驚嘆!
思えば私のクイーン初体験は小学生の時読んだ「エジプト十字架の謎」だったんですが、その、大鉈ばっさりケレン味溢れる趣向が、読んでてたまらなく楽しかったのですよ!それが蘇ってきたみたいで嬉しかったですうううう。