M「親を殺した子供たち」エリオット・レイトン

SandM2005-03-31

草思社

すべての大量殺人と同様に、家族殺人は自分自身のための行為である。(中略)
その目的は主体性をとりもどすことであり、革命に火をつけることではない。

子供をテーマにした作品って、フィクション・ノンフィクション問わず何故か惹きつけられてしまいます。今回は「アンファン・テリブル」に近いかなと思って、この本にしてみました。
寝ている家族を射殺した陸軍士官候補生、車ごと家族を爆破した大金持ちの息子、そして1988年に東京で起きた、少年が両親と祖母を包丁で刺し殺した事件。本書では、親殺しの事例を計9件取り上げ、ひとつひとつについて検証し、そこから、総論として「家族殺人の歴史社会学」を展開しています。出版されたのが1997年ということもあってか、その検証の仕方やそこから導く結論は、ちょっと陳腐かなーという感もしないではないですが、犯行後の彼らの様子には印象深いものを感じました。彼らは一様に冷静で、チキンを食べたりビデオを見たりしています。精神的には全く正常で、後悔の様子はなく、自分が間違ったことをしたとは全く思っていないというところが、非常に興味深かったです。