M「死に急ぐ子供たち」シンシア・R・フェファー

SandM2005-04-01

中央洋書出版部


これは、小児の自殺についての臨床精神医学的研究をまとめた本です。なーんていうと、なんだか小難しそうですが、本書は自殺する子供たちについて、あらゆる角度から焦点をあてており、症例豊富で読みやすいです。
カール・メニンガー曰く、

(自殺についての空想は)「殺したい願望、殺されたい願望、死にたい願望」の三つの無意識的要素を内包する。自殺とは「ひとりの人の中で殺す者と殺される者が合体した死」であるのだ

ということですが、それは子供の場合でも何ら変わりはないのだなあということを、読んでいてつくづく思いました。たとえ現実に対する認識が幼くあっても、その底に横たわる絶望感は深く根強い。そういったことを考え考え、溜息をつきながら読みました。