M「陰獣」江戸川乱歩   

東京創元社


きゃーきゃー「芋虫」!もしかしたら乱歩の中で一番好きかもな作品です。初めて読んだのは中学生でしたが、なんだかいけないものを読んでいるような気持ちで、どきどきびくびくしたのを覚えています。
そんな「芋虫」と同時期に読んで同じ位クラクラしたのがこの作品。“私”は知り合いの夫人から、ある男につけまわされているという相談を受けて調査を開始します。やがて夫人の夫が殺され、未亡人となった彼女と恋仲になった“私”は夫人がマゾヒズム趣味を持っていることを知り…。
今読むと結構どんでん返しもあるし、手掛かりも考えられているのですが、なんかもうそんな組み立てよりとにかく、いつでもどこでも夫人を覗いている「陰獣」と、それをどこかで喜んでいる夫人のネットリさ加減とが、「芋虫」と同じくなんだかたまらなくえっちな感じで、どきどきしてしまいました。竹中英太郎さんの挿絵もすごく良かったです。