M「嵐が丘」エミリー・ブロンテ  

岩波文庫


この交歓日記をはじめてから、「むかーし読んだ本、今読んだらどう感じるかなあ」と思い出す本がいくつかあって、この本もその一つです。とっても有名な、ヒースクリフとキャサリンの激しい愛の物語。エミリー・ブロンテの姉シャーロット・ブロンテが書いた「ジェイン・エア」と続けて読んだのですが、共通しながらも違う印象でした。
今、手元にないままおぼろげな記憶で思い出すのは、冒頭、お屋敷を借りにきた青年が寝ようとすると、窓から枯れ枝のような白い手が出てきて、青年に語りかける場面。*1驚いた青年が、屋敷の持ち主ヒースクリフにそのことを告げると、狂ったようにヒースクリフがその部屋にかけだしていきます。嵐の中、バタバタと開いたり閉じたりする窓から必死に手を伸ばしながら「キャサリン、入ってきておくれ」と泣き叫ぶヒースクリフの激しい姿が、つよく印象に残りました。後に復讐を始めるヒースクリフは勿論、キャサリンの父や兄も意地悪で偏屈で、登場人物が内に抱く、ともすると捻じ曲がり屈折した激しい情熱に圧倒されてしまいます。これを読んだあとしばらくは、何かあると「ヒースクリッフ!」と心の中で叫ぶのが、密かな私のブームとなりました。

*1:記憶なので間違えているかも…すみません