M「薔薇荘にて」A.E.W.メイスン

SandM2005-02-17

国書刊行会


うっふっふっふ。大好きな「世界探偵小説全集」の栄えある1でございます。
南フランスの保養地で、裕福な老婦人が惨殺されて宝石が奪われます。残された証拠からは、姿を消した美しい女同居人が犯人だと思われますが、女同居人に恋心を寄せていた青年の依頼で、探偵ルノー氏の調査がはじまります。全体の2/3で事件は解決し、残り1/3は事件の再構成になっているのですが、実際の犯行の計画・実行・隠蔽工作が詳しく述べられていて、最後まで退屈することなく面白く読めました。一つ一つの証拠をやたら丁寧に検証するのがちょっと面倒くさかったり、探偵役がなかなか手の内を明かさないアンフェアさなど、古めかしくて*1ダメな人もいるだろうなあとは思いますが、私はこういう四角四面な筋運びが大好きなので、読みながら嬉しくて仕方なかったです。

*1:1910年の作品です