S「百器徒然袋−雨」京極夏彦

講談社


京極堂シリーズ」の主要登場人物・榎津礼二郎を主人公にした一冊。探偵小説と銘打ってはいるけれども、探偵小説好きのMさんが読んだら怒るかも。この探偵は推理をしない。というのは彼には相手の目撃した物が「見える」から。他の人には見えない物が見えているのに、それに全く自覚がないらしい。長身で髪は栗色、大きな鳶色の瞳。麗しく整った顔立ちの美男子で薔薇十字探偵社の看板探偵なのである。我が儘放題、勝手気儘で、いつも力業で無理矢理事件を解決してしまうのだ。「わはははは、僕は探偵だ!」と言って登場する探偵って、他にいないと思う。壊れっぷりが、かなり好き。