M「伝説のジャクリーン」カトリーヌ・パンコル  

SandM2005-02-18

扶桑社


私はジャッキー・ケネディ・オアシスについては殆ど知らなかったので、読んで驚かされました。ジャッキーに関する記事を垣間見ると、だいたい“美しい”と称されていて、個人的にはジャッキーを美形だと思ったことがない私は不思議だったのですが、読み進むにつれて、彼女の強い個性が周りを屈服させていたのだなあと思いました。プレイボーイで山師の父親と、成り上がり出身だけど貴族ぶる母親の元に生まれた少女は、溺愛する父親に“お前は女王さまだよ”と囁かれて育ち、やがて他人に心開かぬ強い意思を持つ女性になったのだと著者は分析します。ここではジャッキーの生い立ち、J・F・ケネディとの出会いと結婚生活、ケネディ死後再婚したオナシスとの暮らし、さらにその後出会った妻帯者の男性との生活までを追いかけていくのですが、莫大なお金と権力を手に入れ他人に誉めそやされる生活を送っても、決して満たされることのないジャッキーを見ると、複雑な気持ちになります。著者がジャッキーを“愛情に飢えた子供”とする視点は、ちょっとうがちすぎかな?と思うところもありますが、全体としてはなかなか面白かったです。