S「睡蓮の午後」辻邦生

福武書店


『各章の扉にシェイクスピアシェリーやコールリッジやトマス・ムーアを引用』で思い出したのが、この短編集。それぞれの物語がボルヘスコクトートーマス・マン等のパロディになっており、扉に一節が引用されている。私が一番好きなのは「水の女ウンディーネ)」で、この扉にはヘッセがいる。読み返してみたら「人魚の嘆き」のイメージとも重なっている。現代的な人魚だけれど。
この交歓日記も連想が連想を呼び始めていて、またまたこれも池の睡蓮が咲き広がって行くイメージとシンクロしている。「サムソン・アゴニスツ」を読んでみたい。