M「死への落下」ヘンリー・ウェイド

教養文庫


「推定相続人」の作者。なんですが、うーん…
謎解きの楽しさがない。犯人逮捕のカタルシスもない。
結局主人公が犯人というのがラストでそれとなく示されるけれど、殺しの方法はハッキリしないし、犯人はそのまま逃げおおせることも暗示されているのもモヤモヤ。
倒叙物とは相性が悪いのかもしれないなあ私。
でもアントニイ・バークリーの別名フランシス・アイルズ名義「殺意」はいつか読んでみたいです。

M「誰も批評家を愛せない」ジェーン・デンティンガー

創元推理文庫


ショービジネス界内幕ものって基本的に好きです。
これは売れない女優兼演技指導者兼演出家が主人公のブロードウェイもの。
まあまあ面白かったです。
主人公より恋人の刑事やゲイの演出家がいい感じでした。

M「死者を起こせ」フレッド・ヴァルガス

創元推理文庫


これ案外面白かったです。
歴史専攻の学者三人が、貧乏食い詰めて一軒のボロ家を借りて共同生活。
専攻も性格も体格も様々な三人の男、これだけでも十分面白いのですが、冒頭提示される謎が、「元オペラ歌手の庭にある日突然一本の木が植えられている」というなんともいえないもの。
そしてオペラ歌手失踪。主人公の伯父の元刑事(それも悪徳刑事 笑)も入って色々推理。
犯人も結構意外で、結末までテンポよく、最後まで楽しんで読みました。

M「悪魔は夜はばたく」ディーン・R・クーンツ

創元推理文庫


実はこれが初クーンツ。
モダンホラーってスティーブン・キング以外殆ど読んだことがないのです。「物語の中でくらい救いをくれよ!」が信条でございますので(笑)、基本的に救いのない結末・後味が悪そうな本は避けて通ってるのです。ジャック・ケッチャム隣の家の少女」とか絶対読まない!w
で、これはどうだろうなあーと、ちょっぴり危惧しながら読んだのですが、いやいやこれは良かった!
まさに巻を措く能わず。夜中までかけて一気に読んじゃいました。翌日仕事なのに−!


まず殺人者を透視する能力者という設定が良いですわあ。厨二病全開でw。
途中あまりにも、「夫マックスが連続殺人者である」という仄めかしが頻発するので、却って夫ではないな、と推理。
…と見せかけてやっぱり夫でした、は刊行年から見て、ないな、とまたまた推理。
となると、犯人は透視能力者メアリーの兄アランしか残らないじゃないか!w


けど、犯人の目星がついても、牽引力は変わらず。これがすごい!
大抵犯人がわかってしまうと、興味半減して流し読みになってしまうんですが、これは読むテンションは変わらずドキドキしながら読み進めました。
メアリーがどうやって犯人に対抗するのか、というのも興味の一環だったからかなあ。
最後には色々な謎に整合性を与えすっきり。陳腐かもしれないけれど、最後に悪が倒れるのはやっぱり嬉しい。
サスペンスとしてもミステリとしても面白かったです。

M「フランスの怪奇民話」高橋彦明訳

評論社


人魚・妖精でまるまる一章というのが、らしいなあと思いました。
あと、死人の腿肉食べるとか、狼に食べられて手足バラバラとかとか、サクっと人肉を喰らっちゃうお話が
何気に多かったです(笑)

M「アメリカの怪奇民話」高田邦夫訳

評論社


うーん、ここに収められているのはどれも、あんまり民話という感じじゃなかったですねえ…。
多くを占めるのは、魔女狩りの話と海賊の話なんですけど、
特に魔女狩りの話は、「ひどいこと昔はあったけど、今の私たちは正気だから、それがひどい事だとわかってますよ」というのを言いたいだけのような…。
まあ幽霊の話とか不思議な話も、あるといえばあるんですが全然少ない。
物足りなかったです。