M「ロシアの怪奇民話」金本源之助訳

評論社


いやー、ロシアってやっぱ独特ですなああ。


骨と皮ばかり、魔法を使い、人を喰らう老婆「バーバ・ヤガー」。これよう出てきました。ポピュラーなんでしょうね。
ロシアの子供は「バーバ・ヤガーが来るぞ!」と言われたら慌てて寝床にもぐりこんだりしたのかしら。
たまに人助けするけど、大抵極悪です。


森の方を向いて立っている鶏の足をした小屋も印象的。これもよく出てきました。
「小屋よ小屋!もとのとおりに森に背を向け、わたしの方に表を向けよ!」と呼びかけると、
ぐるっと回ってこちらを向き扉が開くのも共通。


追っ手をはばむため、櫛など小物を投げると、森や川になる、というのも多かったです。
これは日本神話にもあったような。
ロシア版は、追っ手は森や林をバリバリ噛んで道を切り開いてくる、というのが豪気。


しかし一番ぐっと来たのはあとがきで
「ところで私は、ロシアの口碑文学、殊にその民話に心を向けてから、年すでに久しい。
それらの草稿の多くもまた、きょう底に眠ること、これまた年すでに久しい。
それがこの度、その一部とは言え日の目を見ることになったのは出口保夫先生のご厚意による。
嬉しく、感謝いたします。」という訳者の一文。
どうやらかなりのお年のご様子です。
そして訳者の現住所が明記されてるのに吃驚。
昭和57年初版当時は当たり前なのでしょうか…。のどかさ隔日の感です…。