M「小僧の神様―他十篇」志賀直哉

岩波文庫


…と、同じのをあげるだけでは何なのでこれを。
小僧の神様」が一番好きです。これは、番頭さんの話を聞きかじって「お寿司食べたいなー」と思った小僧さんが、お使いの帰り道通りかかった屋台のお寿司屋さんで、思い切ってお寿司に手を伸ばすけれど、価を聞いて、そっと戻してすごすご帰る。それを見ていたAさんが、後日小僧さんがお寿司をお腹一杯食べれるよう、名前を明かさず采配して、小僧さんは不思議がりながらも、やがて「あれは神様だったのかな」と思うお話。
ん〜〜、「一時だけの情けは人を駄目にするかもしれないのに、たとえ文中でAに淋しさ恥ずかしさを感じさせていたとしても、結句“神様”と題するなんて、志賀直哉は傲慢だ」という見方も出来るかもしれないなあ、とは思うのですけれど、けどでも、私は、小僧さんに神様と思えるモノが出来てよかったなあって、誰かが何処かで見てくれてるんだ、守ってくれてるんだと思えるモノが出来て良かったなあって、思うのです。