M「高野聖・眉かくしの霊」泉鏡花

岩波文庫


わーい高野聖♪やっぱり音読といえば泉鏡花も外せませんよねっ。実は「山月記」と「高野聖」、どちらを先に書こうか迷いました(笑)
『飛ぶ鳥も見えず、雲の形も見えぬ』『其よりも寧ろ俗歟』『若いの、聞かつしやい』『天窓から嘗めて居ら』7分の1も読まぬ間に、音読したくなるフレーズ盛りだくさんで、とても書ききれません。
そしてそれとは別に惹かれるところが、僧が女性と一緒に水浴びするため川に下りる箇所。

手をあげて黒髮をおさへながら腋の下を手拭でぐいと拭き、あとを兩手で絞りながら立つた姿、唯これ雪のやうなのを恁る靈水で清めた、恁う云ふ女の汗は薄紅になつて流れよう。(下線はM)

まああああ何と浪漫てぃっくな例えでしょうっ。しかもそれを呟くのは“師匠が嚴しかつたし、經を讀む身ぢや、肌さへ脱いだことはついぞ覺えぬ”お坊さんなのですもの。我知らずこぼれ落ちてしまう魔性の女性への賞賛が、なんだかとっても微笑ましくて、もうえへえへしちゃいます。
そして最後の種明かし?『軈て飽かれると尾が出來る、耳が動く、足がのびる、忽ち形が變ずるばかりぢや』に至っては、もう“ぐはあ”。「山月記」と並んで大好きな作品です。