S「白州正子自伝」白州正子

新潮文庫


今日はこの本について書こうと決めて帰宅したら、すでにMさんの本が掲載済みだった。ふーん、吉田健一氏とは誰だろう?調べてみたら、吉田茂・元首相のご子息らしい。吉田元首相の懐刀と言えば、大正から昭和期のダンディ白州次郎。その夫人が私の好きな白州正子なのだ。おお、つながってる!
「韋駄天お正」は薩摩隼人の海軍軍人の孫娘。生まれて初めて口にした言葉は「バカヤロウ」。早い時代に海外留学や海外旅行を経験していることや、古典芸能への造形の深さなどは恵まれた境遇に生まれたからこそと言えるかもしれない。でも同じ境遇で育った人がみな白州正子になれるとはとても思わない。美を鑑賞するだけではなく、東京郊外に疎開中には自給自足の畑仕事。時代の変化にも変わらない芯の部分と若い文化をごく普通に語る柔軟さを併せ持っている。何もかもが真剣勝負であるからこその格好良さなのだ。