S「カムデン・ガールズ」ジェーン・オーウェン

ソニー・マガジンズ


ロンドンのもうひとつの夜の顔。筋金入りのクラブフリークだった著者がロンドンの週末48時間を駆け抜ける女の子達を描いた小説。
ジュノーと友人達はいつもゲスト扱いでパーティーへ出かけ、移動のリムジンにもただ乗り。金曜の夜の留守電チェックから始まり、クラブをはしご、友達のトラブルに巻き込まれ、アルコールやドラッグや恋愛にうつつを抜かす。そして週末が終わる。良いも悪いも関係ない。これが彼女の生活。
会話の中にミュージシャンが多数登場するが、ちっぽけなパーティーに来ていたビッグゲストとしてマイケル・ハッチェンスが描かれている。素敵な足の持ち主で「目当ての男リスト」に入れられている彼だが、後に自殺した事を考えるとせつなくなる。実在のカフェやクラブや人名が出てくる所が「上海ベイビー」と少し似ている。年代もほぼ同じ90年代終わり頃かな。
「だってあたしたちがすることといったらパーティーとライブとレイブのほかになにがある?」と書いた作者には、いくつになっても「私も昔は馬鹿やっててさ」とか「やんちゃな時代もあったのよね」なんて言わないでいてほしいなぁと思う。