M「ゴーイング・ダウン」ジェニファー・ビル  

SandM2005-03-18

青山出版社


ではもう一つニューヨークが舞台の小説を。こちらは気軽に読めちゃいます。
同棲していた恋人のアパートから追い出された19歳の主人公が、軽い気持ちで“エスコート・サービス”の仕事を始めるのですが、あっというまにそれにはまっていってしまいます。こう書くとなんだか重苦しいようですが、決してそんなことはなく、良い意味でも悪い意味でも、ひっかかることなくあっさりと読めます。冒頭、泊まる所がなくて困っていた主人公が、昔働いていたバーの同僚に案内されたのは、古いプールで枕を並べて横たわる所だったなんてところとか、人々が普通に通うカウンセリングやマッサージ師、高級コールガールの店の仕組みなどの、ニューヨークの描写が面白いです。最後前向きになる主人公に特に感動するという訳でもなかったですが、彼女の迷い方は等身大で共感できました。