2005-03-15 S「朗読者」ベルンハルト・シュリンク 新潮文庫 15歳の少年が36歳の女性ハンナと恋に落ち、彼女の部屋を訪ねては様々な本を朗読する。年齢差を超えた不思議なラブストーリーは、彼女の突然の失踪で終わる。やがて運命は大学生になった少年と彼女を再会させ、ハンナの秘密が法廷で掘り起こされるのを見せつける。 若い恋人との道行きを「良いわねー」と浮ついた気持ちで読んでいた私は、突然変わる物語の色彩とアウシュビッツやホロコーストという重い文字に狼狽える。大きな悲劇としては理解したい、でも個人の過去は知りたくない…。最後までとまどいながら読了した。