M「精霊と結婚した男」ヴィンセント・クラパンザーノ 

紀伊國屋書店
  

でわでわ私はメキシコからモロッコへ飛んでみますねっ。
ロッコ人トゥハーミさんてば、ジンニーヤさんっていう精霊と結婚してたんですって。ジンニーヤさんは別名アイシャ・カンディーシャと呼ばれる女の魔物です。これはトゥハーミのライフヒストリーでもあり、トゥハーミの物語を通した著者クラパンザーノの文化人類学論でもあります。トゥハーミの話は曖昧で、クラパンザーノは自分の持っている文化人類学の枠の中で彼の話を捉えようとして失敗し、方向転換しながら何とか位置づけようと悪戦苦闘しています。その辺がちょっと専門的かつ回りくどいのですが、男女間に厳しい分離があるアラブ社会、文盲の瓦焼き職人トゥハーミの生活、ムスリムである祖父の話など、モロッコの特異な風土が感じられて興味深かったです。