S「ミーシャたちの素顔」

朝日新聞社


ロシアものが確かあったはず、と書棚をガサガサ探して発掘。1991年(またもや!)に開催された写真展の図録。1985年にゴルバチョフ政権が誕生してから、「ペレストロイカ(立て直し)」という言葉が聞かれるようになり、「グラスノスチ(情報公開)」のおかげで未公開の写真や改変されていた写真が元の姿で公表されるようになった。
この本では帝政ロシアからソビエトに至る150年間、200枚の写真から無名の人々や歴史上の人々が語りかけてくる。美しい衣装に身を包んだロマノフ王朝の人々、ゴーリキーチェーホフレーニンスターリン、快僧ラスプーチン。それらの人々と同じように巡礼者や兵士や囚人や歌姫といった無名の人々の目が語りかけてくる。写真につけられた短いコメントから、150年で経験するには激しすぎる時代の変化が読みとれる。日露戦争や“血の日曜日”や“チェルノブイリ”、とりわけアフガン侵攻後のアフガニスタンの人々の強い眼差しが印象的。