M「約束の地の奴隷」アレクサンドル・ドーリン  

中央公論社


28日の本と同じく1991年に出版された本ですが、こちらは俯瞰ではなく地べたの視点で、当時のロシア人の生活を克明に記しています。出てくるのは、マフィア・盗み・たかり・万引き・ちょろまかし・賄賂。アル中がとても多くて、でもバーがない為、見知らぬ者同士手近なアパートの最上階で、一本のプロセスチーズとキャラメル二個をおつまみに酒盛りしていたり、日用必需品を手に入れる為に、あの手この手の獲得合戦が繰り広げられたり。庶民の視点で、しぶとく生きていくロシアの人たちが描写され、興味深く読みました。