M「初秋」ロバート・B・パーカー

SandM2005-02-25

ハヤカワノヴェルズ


ではでは、ハードボイルド系*1から一冊。実はコレ、読む前はちょっとおっかなびっくりでした。とっても有名な私立探偵スペンサー。「食通で洒落者で詩が好きでボクシングも強くて、苦境でも気の利いたセリフを吐く」なーんて設定だけで軽く腰が引けるのに、その上「固く心を閉ざした少年が、スペンサー流のトレーニングと交流で、自立し大人になってゆく」なんて、“いやん、いかにもな成長物語だったらどうしよう”と、少し危惧しながら読み始めたのですが、あにはからんや意外と面白かったです。スペンサーがあくまでも自分のルールにこだわるのが、ここまでくると可愛らしささえ感じてしまって、しまいにはもうニヤニヤしながら読んでしまいました。どんな難題も楽々とご都合主義的なまでに解決されていきますが、これはこれでよいのですね。出てくる食べ物も美味しそうだし、少年との関わり方も好感持てて、後味良く読み終わりました。スペンサーものはいくつか読みましたが、今のところこれが一番良かったです。

*1:正確には「ネオ・ハードボイルド」にジャンル分けされるみたいです