S「人はどこまで残酷になれるのか」桐生操

中央公論新社


洗練されたセンス、優美な曲線やミニマムなデザインはとても素敵。にもかかわらずゴテゴテした悪趣味な物に惹かれるのはなぜだろう。巨大なポンパドゥール(リーゼントも可)とか、ドラアグクイーンのつけまつげとか、豹皮のカーペットなんかが好きだ。エロ・グロ・ナンセンスは悪趣味だけど魅力的。


この本は「痛い」のや「血を見る」のが苦手な人にはちょっとお勧めできない。何せ拷問や処刑の方法がずらりと並んでいるのだ。前半のあらゆる拷問方法の所では「イタタタタ…」な顔になってしまう。残酷きわまりない拷問方法の中で「塩ニシン」だけが定食のおかずみたいな名称で可笑しい。猛烈に塩のきいたニシン料理を食べさせて数日水を与えないそうだ。指詰めや水責め等に比べると流血・残酷度は低いように思えるが、これもきっと相当辛いよ…。
後半は惨殺魔と化した権力者達や拷問や処刑で殺された人々のエピソード。スケールが大きすぎて呆れて笑えてしまうのもあった。それにしても、何より悪趣味なのは昼休みに食事しながらこれを読んでいる私かも。