M「蜘蛛」H・H・エーヴェルス

創土社*1 


「生きてはいない(生きている人間ではない)絶世の美女が若者を誘惑する」しかもその名が「クラリモンド」ときたら、これを挙げずにはおれますまいっ。
ある部屋で原因不明の自殺者が多発します。その原因を追究すべく医学生リシャールは、警察のバックアップのもとその部屋で暮らし始めます。と、道を隔てた向かいの窓に映る影。それこそがクラリモンド。ジェスチャーで語り合い親交を深めていくうち、リシャールはどんどん彼女に魅かれていきます。同時にかすかな恐怖も感じながら。
途中でネタは大体わかってしまいますけれど、リシャールが「いってはいけないのにどうしても引きずられてしまう」過程を手記形式で綴っているのがなかなかよろしいです。
江戸川乱歩の「目羅博士の不思議な犯罪」は、これをパクって改作して書かれたんですって。やっぱりか!まあ「蜘蛛」自体もエルクマン=シャトリアン「見えない眼」を元ネタにしてるらしいですし(笑)

*1:プラークの大学生」の作者でもあります。こちらの方が有名?