M「エンジン・サマー」ジョン・クロウリー

福武書店


これはもう、すごく、ものすごく良かったです!!!
遠い未来。現在の人類は「天使」という形でかすかに記憶がある位の遠い未来。
リトルレビアという土地に住む「パーム・コード/手のひら系」の《しゃべる灯心草》という名の少年が主人公。
彼が《一日一度》(ワンス・ア・デイ)という少女に恋をして、生まれ育ったリトルレビアを出て、聖人になるため旅に出ます。


旅の途上、樹上の聖人に会い、“リスト”達と暮らし、“ドクター・ブーツ”と一体となり…。
それら一つ一つの出来事に、様々な寓意や象徴が散りばめられ、まるで水晶で出来たおとぎ話のように美しくて、涙します。読み進むのが勿体ない。


“ドクター・ブーツ”と一体となったあと、《しゃべる灯心草》はまた自分にもどります。
そして聖人というか、彼自身が聖なるもの/語り継がれていくものになっていく、のです…。
あーもうここに至っては涙腺の堤防決壊。
それまでの出来事/物語が見事に収斂していきます。
ラストからは様々な事が読み取れ、、読者である私こそが今、《しゃべる灯心草》と一体になっているのに気付き、そして《しゃべる灯心草》の言葉に涙あふれ…。
呆けすぎて、読んだあとしばらくは、使い物になりませんでした。
宝物のような本です。




あとは、このところ読んだSFものをいくつか。