M「M.R.ジェイムズ傑作集」M.R.ジェイムズ

創元推理文庫


うっひょうM.R.ジェイムズですよ!やっぱ好きですなあ。
好きといいつつ全集は持ってないわけですが(浅い)。
改めて読むと、こういう「昔ながらの」怪談話が自分の好みだということを再確認するわけです。


全然派手ではないです。むしろ地味。血とかあんまり出ません。ぐちゃどろでもないです。
音や空気や風が雰囲気を盛り上げます。そこが好き。


全17編。基本的に短いです。お気に入りをいくつかメモ。
・「消えた心臓」月夜の庭に立つ、左胸に黒い裂け目を持つ少年と少女の幽霊シーン、静謐なだけに怖い。
・「銅版画」絵の中の骸骨のようなモノが、段々屋敷に近づき、入り込み、死んだ子供を抱えて出てくる、その様。
・「十三号室」怪奇現象の原因(オチ?)はどうでもよくて。存在しない部屋ってアイデアだけで充分。
・「縛り首の丘」死人を煮沸したり蒸留したりした液を閉じ込めた双眼鏡。うう…。
・「ハンフリーズ氏とその遺産」出られない迷路。銅球。部屋にいつのまにか出現した穴から這い登る焼け爛れた顔。
・「呪われた人形の家」なんとなく、ヘンリー・カットナー「住宅問題」を思い出したり。年代的にこっちが先かな?
・「鼠」解説では『因縁話としては単純』と書かれてますが、私はこれが一等好き。案山子が頭をぐらぐらさせながらぶるぶる歩いてこられたら、そしてよく見たらそれが首輪足枷の骸骨なら…うわあ背筋がブルっとしました。今。書きながら。


よくあちこちのアンソロジーに収録されていますが、それもむべなるかな。
ふと出逢うととても嬉しい人。