M「姑獲鳥の夏」京極夏彦

SandM2005-03-08

講談社文庫


昨日お借りしたばかりのこの本、ちょっと目を通すだけのつもりが、なかなか面白くて一気に読んでしまいました。冒頭「古本屋にして憑物落とし!」な京極堂主人の薀蓄が語られ、続いて「良からぬ噂のある病院の娘婿が失踪、その妻は妊娠して19ヶ月もたつのにまだ出産しない」なーんていう妖しげな事件が登場して、俄然話は面白くなっていきます。戦後すぐの時代背景の中、カストリ雑誌で糊口をしのぐ語り手の意識がぐらぐら揺れて、どうやらそれが事件の鍵を握っているようなのですが、なかなかそれは露になりません。後半呪われた家系や陰陽師やら出てきて、腹部からどぴゃーと血が飛び散るに至っては、どうなることかとこのお話をちょっと危惧しながら読みましたが、綺麗に辻褄があっているように落としてくれたので良かったです。風鈴のちりりん、となる音、美少女の「うふふ」などの使い方も良くて、これは映像で観たいなあ、できたら実写よりもアニメで観たいなあと思いました。