
金原瑞人 訳 佐竹 美保 絵
偕成社
訳者が私の好きな「白い実」三部作の金原さんなので、思わず手に取ったもの。
児童文学となっていますが、ジュブナイル小説を読み始めるお年頃と児童の間位が対象かなという感じです。
ロンドンから離れた古い村に来た流れ者のレノルズさんが、宿の若い三姉妹にせがまれて話す幽霊と恋に落ちた人間の物語。
長女はもう学校を卒業して、ロンドンに出たいと思っている。
次女は家庭を持つことをもうなんとなく決めていて、三女はまだまだ無邪気な年頃。
時代は少し遡って、女性の参政権が話題になる位の頃のお話。
子供向きなので、幽霊も恋愛もふんわりとしていて、ファンタジックで可愛いお話。
ただ「泉をまもるもの」という話だけは、少し凄みがありました。
森番グウィンと、わがままで美しいルーシーが結婚する。
森番の家はは魔物の棲む世界にあるので、不思議なことがたくさんある。
軽率な行動で囚われていた魔物を解き放ってしまって、恐ろしい事も起きてしまう。
ルーシーの言動は子供じみて身勝手で、最初はあまり好きになれない感じ。
魔女と呼ばれている白いメアリがお話に介入してきてから、一気に面白くりなります。
メアリはルーシーの理解者になり、ルーシーに自信を持たせます。
大人になり始めたルーシーと弱さを自覚したグヴェンは、夫婦として補い合う良い関係を育てて行けそうな雰囲気で終わります。
ルーシーと母の関係性が垣間見える中で、ルーシーが実は理性的に物事を見ていることなど「わがままな女の子」以外の面も描かれています。
夢みがちだったり、時には現実的だったり、世界の見え方が一定じゃない感じが、少女期の感覚ぽいなと思いました。
ロンドンに出て行きたい長女ベッキーと、おじさんと言うには意外と若いレノルズさんの間に、今後再会がありそうな、なさそうな曖昧な感じで終わります。
タイトルからして「恋人達」なので、恋に憧れるお年頃にドキドキしながら読む本なのかも。