M「最後の愚連隊 稲川会外伝」正延哲士

幻冬舎アウトロー文庫


うむ。戦前からの愚連隊林喜一郎が、稲川組の傘下に入りのしあがり、夜の横浜市長と呼ばれるまでになり、そして死ぬまでの生涯を描いたドキュメンタリ。

…なんですが、今ひとつ惹かれなかった…。

一つには登場人物がやたらと多く人間関係も入り組んでおり、その為か一人一人については掘り下げようもなくアッサリしてて、結果どの人物も印象に残らない。主人公林喜一郎でさえも。戦前〜昭和60年代まで長い期間のヤクザ業界はやたら抗争やら多く事実関係も複雑だからある程度それらに触れないと話が進まないのはわかるんだけど。
あと残念ながら、出てくるヤクザの人々に惹かれなかった。悪漢には悪漢の魅力があるのですが、今回はどうも…。
あとがきに「強烈な自己主張。理解不能な機嫌の変化。断定癖。金銭に対する執着。粘着性。議論嫌いのインテリ嫌い。人間不信。愛憎過多」を併せ持つ者がヤクザには多い、とあったんですが、ちょっと“なるほど”と。現実には勿論、本でもあまりお近づきになりたくない人種だなと。
文章はまあまあ読みやすかったんですが、前後関係や状況がわかりにくくて前半は読むのちょっと辛かったかな。